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ママは歯医者さん Dr.優子の子育て日記 Vol.8 学校歯科健診の結果で注意すること
- 2022/8/31
- ママは歯医者さん Dr.優子の子育て日記

毎年春に学校で行われる「学校歯科健診」。
大規模校であれば体育館で、小規模校であれば保健室などで歯科医師が歯の健診をします。歯科医師が「シー、シーオー、マル、シャセン」などと言っているのを聞いたことがあるでしょう。
学校歯科健診は「学校保健法」という法律で定められた健診で、6月30日までに実施することになっています。
学校歯科健診が終わると学校によっては健診結果を配布して、むし歯や歯肉炎があった場合は早めに治療をして健診用紙を学校に提出することを求められる場合もあります。
【健診結果用紙が渡らない=むし歯がない=異常がない】と思っている保護者の方が多いのですが、実はここに大きな落とし穴が潜んでいます。
学校健診は「スクリーニング検査」といって異常をおおまかに判断する検査です。
「口の中をパッと見て、異常があるかないか」を判断しているに過ぎません。
体育館や保健室には歯科医院のような設備がないため、診断が難しいのです。特に照明は暗くて口の中がよく見えません。また、時間が限られているので一人を健診する時間は1分ほどになります。そして歯科医院と大きく異なるのはレントゲンでの検査ができないということです。
パッと見て、大きく穴があいていればむし歯と判断できますが、レントゲン撮影をしなければ診断できないような場合は悩みます。
「学校歯科健診ではむし歯が2本だったのに歯科医院ではむし歯が4本あると言われた」とか「学校健診でむし歯が2本と指摘されたが歯科医院でむし歯の治療は必要ないと言われた」などということもあります。
条件が全く違うので、学校での大まかな健診と歯科医院での精密な健診に誤差が生じてしまうのはある程度仕方がないことなのです。
先日、初めて当院を受診した中学1年生の生徒さんは、小学校6年間、一度も学校歯科健診の用紙が渡らなかったので本人も保護者も「歯医者に行く必要がない」と思っていたそうです。
しかし、小学校6年間で年齢にあった正しい歯のケアの仕方を学ぶチャンスがなかったため、ほとんどの永久歯がレントゲン撮影によりむし歯になっていることを確認しました。
お子さんの歯を守るためには、歯科医院での定期的な健診が必要であることを改めて思い知らされた症例でした。

最後に「健診」と「検診」の違いも知って欲しいと思います。
漢字は違いますがどちらも「けんしん」です。
「健診」は総合的な健康診断のことであり、学校歯科健診がこれに当てはまります。
「検診」は特定の病気かどうかを診察することで、歯科医院で精密な検査がこれに当てはまります。 「歯」に限らず、「健診」と「検診」の違いを区別して親も子も健康であり続けたいものですね。
ドクター優子ママプロフィール
青森県八戸市出身。歯科医師。株式会社ケロル代表取締役。
岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。
医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、
個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。
青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr.YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、
日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。