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ママは歯医者さん Dr.優子の子育て日記 Vol.7 診療室から見える親子関係について
- 2022/8/10
- ママは歯医者さん Dr.優子の子育て日記

夏休みが始まりました。
徒歩あるいは自転車で通院できる小学校の高学年ぐらいになると、春に行われた学校歯科検診のカードを持って一人で受診しますが、ほとんどの場合は保護者が子どもを連れて受診します。
小さなお子さんが自分の意思や希望で歯科医院を受診することはありえません。つまり歯科医院を受診するかしないかは「保護者次第」なのです。保護者が健康や歯の大切さを理解していればその価値観はお子さんにも引き継がれていく可能性も高いのですが、その逆もあります。

人生を大きく左右する家庭環境や遺伝子を選択することは出来ません。「子どもは自分で親を選べない」ということを意味している「親ガチャ」という言葉をお聞きになったこともあると思います。
現在お子さんがいる方は子どもの親ですが、ご自身にも両親が必ず存在します。
子は知らず知らずのうちに親の価値観を刷り込まれて育つため、自分が何かを判断する時の「良い、悪い」という判断基準と行動するためのモチベーションは自分の親の価値観そのものである、と言われます。
子どもの治療をする場合、一番困ることはどんなことだと思いますか?
泣いて治療が出来ない、治療中に暴れる、などということを思い浮かべるかもしれませんが、実は一番困るのは「子どもに恐怖心を与えてから歯科医院に連れて来る」ことです。
歯医者は怖いところ=注射をする、歯を抜く、ドリルで削るということを子どもに洗脳してしまう保護者の方が結構存在します。
初めて行く場所は大人でも緊張します。ましてや小さいお子さんならなおさらです。
さらに親から「注射されるよ」とか「歯を抜かれるよ」と言われたら恐怖しか感じないでしょう
私やスタッフの顔を見た途端「注射、イヤだ」と泣き出します。よほど緊急(怪我や歯を折った場合など)ではない限り、初めての治療で麻酔を使うことはありません。注射はしないからね、と言っても初めて会った白衣を着たおばさんの言うことなど信用するはずはありません。
治療の前に、保護者が刷り込んでしまった歯科医院へのブラックなイメージを無くすることから始めなければならないのです。多分、お子さんにブラックな歯科医院のイメージを伝えてしまう保護者の方は、自分も親にそのように言われて育ったのでしょう。
歯科医師としてはとても残念なのですが、行きたくない所の上位に位置する歯科医院。
もちろん、歯科医院や歯科治療で嫌な思いをされた保護者の方もいらっしゃるでしょう。しかし、時代の変化とともに治療に関する考え方や治療技術と材料は発展、進化しています。
親世代の常識が大きく変化していることもあります。
歯科に限ったことではありませんが、親としてお子さんには新しいポジティブな価値観を伝えてあげたいものですね。
ドクター優子ママプロフィール
青森県八戸市出身。歯科医師。株式会社ケロル代表取締役。
岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。
医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、
個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。
青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr.YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、
日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。