ママは歯医者さん Dr.優子の子育て日記 Vol.5「コロナ禍のマスク生活で子ども達に起こっている変化について 」

 マスク生活も3年目に突入しましたが、2022年5月19日に厚生労働省から屋外や小児のマスク着用についての見直しが提案されました。

 小児のマスク着用に関しては2歳以上の未就学児では、マスク着用を一律に求めず、無理に着用させない方向に変わり、小学校等では「熱中症リスクが高い場合は、登下校時にマスクを外すように指導」「屋外の運動場やプールでの体育の授業や休憩時間における運動遊びにおいてもマスクの着用は不要とする」と明確化されました。

 私は仕事柄マスクをするのが当たり前の環境で30年近く仕事をしていますが、マスク生活が始まった3年前、普段マスクを着用する機会がない大人たちは「マスクをすると息苦しい」と口々に言っていました。息が出来ないので鼻を出してマスクで口だけ覆っている人も見かけました。

 大人でさえも息苦しいマスクですが、子どもであれば尚更です。

 本来、人は「鼻」で外気を吸い、鼻から息を吐きだす「鼻呼吸(びこきゅう)」が正しい姿ですが、鼻呼吸が出来ない人が増加しています。呼吸が出来なければ死んでしまうので鼻の代わりに「口」で呼吸をする「口呼吸(こうこきゅう)」の子どもたちが増加しました。

 内科の表記で「呼吸器内科」「消化器内科」というものがありますが、同じ内科でも呼吸器と消化器では専門が全く違います。

鼻からでも口からでも息をすることは可能ですが、正確には鼻は呼吸器(息をするための器官)であり、口は消化器(食べ物を消化するための器官)なのです。

 鼻で吸い込まれた空気は鼻の中にある鼻毛や粘膜によって、ほこりや細菌、ウイルスが除去されます。肺に到達する前には免疫組織である扁桃で鼻の中では除去しきれなかった細菌やウイルスに対処します。

一方、口呼吸で口に入った空気は、ほこりや細菌、ウイルスを除去されることなく直接体内に入ります。口呼吸をするお子さんが風邪をひきやすくなったり扁桃腺が腫れたりするのは、空気が鼻腔(鼻の中)を通らないために起こることなのです。

さらに口呼吸は全身はもちろんですが、口腔内にも悪影響を及ぼします。

口の中が乾燥して唾液の量が減るので、むし歯になりやすい状態になる、また常に口を開いている状態なので、上唇と下唇に緊張感がなくなり、歯並びに影響するといったことが起こります。 普段の生活で、お子さんが「口と鼻のどちらで息をしているか?」などということは気にしたことがないと思いますが、お子さんと一緒の時に注意して観察してみましょう。

ドクター優子ママプロフィール
青森県八戸市出身。歯科医師。株式会社ケロル代表取締役。
岩手医科大学歯学部卒業後10年の勤務医生活を経験し、その後大澤歯科医院副院長となり現在に至る。
医院とスタッフのマネジメント、子育てで悩んでいた40代で個性心理學と出会い、
個性心理學認定講師として一部上場企業、歯科デーラー、小児科医院などでの講演を多数行っている。
青森市大澤歯科医院「ママさん歯科医師Dr.YUKO」のブログで女性歯科医師としての目線で、
日々の診療、働く女性として、子育てのことなどを発信中。

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