子どもの口臭の原因は口呼吸?歯並びから心の問題まで、口呼吸が引き起こす、さまざまな症状と対処法について
- 2021/10/23
- 親子の時間


子どもの口臭が気になったことはありませんか?「歯磨きはしっかりしているのになぜ…」と、疑問に思っている人も多いはず。大人も顔負けの子どもの口臭。「どうにか改善してあげたい!」というパパママのために、子どもの口臭の原因と、改善方法をご紹介します。
子どもの口臭、どうして起こる?

歯磨きを一生懸命ていねいに行っても、磨き残した食べカスが残っていることがあります。小さい子どもでも歯周病菌に感染していることがあり、それが原因で「揮発性硫黄化合物」というガスが発生して子供の口臭に…。子どもの口臭予防のためにも、歯みがきのときの仕上げ磨きはしてあげましょう!歯科医院によっては、永久歯が完全に生え変わる10歳~12歳くらいまで仕上げ磨きを推奨しているところもあります。小学生くらいになると、毎日は難しいかもしれませんが、時々でも仕上げ磨きの機会を作ってあげた方が良いかもしれません。就学前は特に、親子のコミュニケーションの一環としても仕上げ磨きを習慣にすることをおすすめします!
また、子供に歯磨きをして欲しくても嫌がってしまうことも多いと思います…。こちらの記事には親子で楽しく歯磨きをするコツが詰まっておりますのでぜひ参考にしてください!
歯磨きが不十分という理由の他にも、食べ物を上手に消化できず、胃の調子を崩してしまっているときに口臭が強くなってしまうことがあります。また、便秘を起こしてしまったときも、腸から血液に腸内ガスの成分が取り込まれ、肺から口へにおいが出されることで、口臭を発生させていることもあるようです。
鼻呼吸ではなく、「口呼吸」に頼っている場合でも、口臭は強くなる傾向にあります。口の中の唾液には殺菌作用があり、口臭の原因となる菌の増殖を抑えてくれます。口の中の唾液が乾いてカラカラの状態になると、菌が増えて口臭が強くなってしまうようです。このように、口呼吸にはさまざまなデメリットがあります。口が開いていることに気づいたときに鼻呼吸を促してみるなどの対策を試してみると良いのですが、長い間で積み上げた習慣なので、直すことはなかなか簡単ではないかもしれません。鼻呼吸ができない理由にはさまざまな要因がからんでいるので、のちほど解説します。
口呼吸が原因で起こるさまざまな症状

口臭の原因のひとつとなっている口呼吸。小児歯科医、耳鼻科医からも、いろいろな疾患のもとになっていると指摘されています。口呼吸が原因とされる症状または疾患には、どのようなものがあるのでしょうか。
歯並びが悪くなる
口呼吸は子どもの歯並びにも大いに影響します。いわゆる“出っ歯”と呼ばれる「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」、歯がななめに生えてくるなどの「乱ぐい歯」、上下の前歯の間が開いて隙間ができる「開咬(かいこう)」など、口呼吸は口臭の悪化以外に、歯並びにもいろいろな影響を及ぼすことがあります。
姿勢が悪くなる
口が開いていることで顔、主に顎が前に出てしまい、結果として猫背になってしまうこともあります。姿勢が悪いと、自然と顔つき(表情)も変わってしまいます。おなかに力が入らない姿勢になってしまうため、集中力も低下します。
食べるときに音が出る
食べるときに口で呼吸もしながら食べるため、どうしてもクチャクチャという音が出ることがあります。口から食べ物もこぼれやすいです。
風邪やアレルギーにかかりやすくなる
ウイルスやほこりが気道に入ることを防いでくれる鼻呼吸と比べて、口呼吸はウイルスやほこりが気道に入りやすくなります。そのため、風邪やアレルギーを引き起こしやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群のリスクが上がる
肥満の人や飲酒後の人に起こりやすいと言われている睡眠時無呼吸症候群ですが、口呼吸が習慣になっている子どももリスクが上がります。口や舌回りの筋肉が弱くて鼻呼吸ができないことにより、寝ているときに舌が気道に落ちがちになり、気道が舌でふさがれてしまうことがあるのです。
口呼吸になっている原因

いろいろな症状を引き起こしてしまう口呼吸。スマホの長時間利用でも、うつむいた状態の姿勢により、鼻呼吸ができにくくなると言われています。日本人全体で8割が口呼吸となっているというデータもあるほど。当然、口呼吸がクセになってしまっている子どもの数は増えているのだそうです。
鼻呼吸よりも口呼吸の人が多い理由は、単にその方が「ラク」だからです。鼻呼吸は口呼吸よりも深く息を吸い込む必要があり、口呼吸よりも筋肉を使います。口呼吸は浅い呼吸で済むので、全身をフルに動かす子ども達にとっては便利な呼吸法なのです。しかし、運動しているときは口呼吸で良いとしても、運動していない状態のときには鼻呼吸に切り替えることがベスト。しかし、子どもに「意識して呼吸法を変えなさい!」なんて言っても難しいのが現実です…。
また、乳児期に母乳ではなく、ミルク育児で育った子は、口呼吸がクセになってしまっている子が多い傾向があるようです。哺乳瓶の乳首は、母乳を飲むときと比べて、舌の力をあまり使わなくてもミルクが出てきます。そのため、母乳育児で育った子に比べ、舌や口周りの筋肉がどうしても弱くなりがちに…。さらに、母乳育児の子に比べて人工乳の場合は、断乳時期が早い傾向があります。結果として舌を鍛える時期が短くなるため、口呼吸に頼りがちになります。
そのほかの理由であげられるのは、アレルギー性鼻炎など、アレルギー疾患による鼻づまりによって、鼻呼吸ができずに口呼吸がクセになってしまっている場合も多いようです。アレルギー疾患は子どもの間でも年々増えているので、それに伴って口呼吸が増えているということがあるかもしれません。
鼻呼吸のトレーニング法
口呼吸の子どもが増えているという現状はあるかもしれませんが、鼻呼吸を促す方法はいくつかあります。子どもはもちろん、大人にも有効な鼻呼吸のトレーニング方法があるので、良かったら参考にしてください。
舌の正しい位置を覚える
口呼吸の子は、下顎寄りの方に舌の定位置があると思いますが、鼻呼吸ができているときの舌の位置は、上顎に押し付けている状態が正常です。初めて意識した人にとっては違和感があるかもしれませんが、上顎に舌を押し付けて呼吸を試みてみると、鼻呼吸がラクにできているのが分かると思います。
口や舌を大きく動かす体操をする
舌や唇の筋肉を大きく動かすトレーニングで、口周りの筋肉を鍛えましょう。「あいうべ体操」と呼ばれている体操があるので試してみてください!口を大きく動かしながら母音を発音。最後の「べ」は、舌を思いっきり下の方に突き出す動きをします。こちらの体操を、1セット4秒前後、1日30セットほどを目安に行うと、効果が出やすいようです。また、口の中で舌を回す「ベロ回し体操」も、セットで行なうとなお効果的。お風呂などで、子どもを誘ってやってみると楽しいですよ。
ガムを噛む
両方の歯を使うようにしながらガムを噛むことも、口周りの筋肉トレーニングになります。ただ噛むだけではなく、舌先を使ってガムを丸めたり、舌の上で平らに伸ばしたりという動きも入れながら、意識して噛みましょう。
風船を膨らませる
風船を膨らませる動きも、口周りの筋肉が鍛えられます。また、笛や管楽器を演奏することも、口周りの筋肉トレーニングにつながります。こちらも、子どもと一緒に遊びながらできるトレーニングです。
口とじテープ、または専用トレーニング器具を使用する
近年注目されている、睡眠時無呼吸症候群対策として販売されている商品を使ってみるという方法があります。主に眠るとき、上唇と下唇が開かないように貼る「口とじテープ」は、ドラックストアなどでも手軽に手に入ります。子どもが小さくて嫌がる場合は、子ども用のトレーニング機器も販売されているので、こちらも試してみたいですね!
矯正歯科の治療を受ける
歯並びを矯正するのと同様、矯正歯科に相談するという方法もあります。子どもの状態に合わせて、時にはマウスピースを使って鼻呼吸ができる治療・トレーニングを行なってくれます。施術費用や施術内容は医院によってさまざまですので、最寄りの矯正歯科医院に問い合わせてみましょう。
マスク着用で苦しい鼻呼吸!気を付けることは?

コロナ禍で、子どもたちも毎日マスクを着用して学校や保育園に通っています。仲の良いお友達とのコミュニケーションも、口元を隠してという状態になってから1年半が過ぎました。
マスクはつけているだけで息苦しさがあるので、どうしても口呼吸に頼りがちに…。口呼吸を改善したいと考えている場合は、なるべく呼吸のしやすい立体的なマスクを選ぶことをおすすめします。
鼻呼吸ができず口周りの筋肉が弱ってしまうことで、マスクを外した状態のときでも表情が出にくくなってしまうことがあります。無表情になることで、気持ちも落ち込んでくるなんてことがあると、大変です。楽しいのに「楽しい!」という表情が作れなくなると、だんだん気持ちが落ち込んでくるかもしれません…。
また、友達の楽しそうな表情を十分見ることができないのも寂しいものですね。メンタル面にも影響してくる口呼吸。マスク着用による無表情化にも気をつけながら、鼻呼吸トレーニングを積極的にしましょう!
マスクをする際にはこのような呼吸の他にも気を使う点があります。夏は特に暑くなるので呼吸が難しくなってしまいますよね…。具体的にどのような点に注意すべきかまとめた記事があるのでぜひご覧ください!
まとめ
口呼吸が歯並び、鼻やのどなどの顔回りの疾患だけではなく、全身、さらには心の不調にも影響するという点は驚きでしたね。ちょっとした気配りや努力で、体と心の元気を手に入れることもできます!子どものためにもぜひ取り入れていきましょう!
