「はらぺこあおむし」の魅力を再検証!エリック・カールさんの世界観を堪能できる、絵本もご紹介

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 1000px-200_01.jpg

アメリカの絵本作家、エリック・カールさんが2021年5月、91歳で他界されました。 訃報が流れた日のツイッターでは、「はらぺこあおむし」がトレンド1位になるなど、刊行から数十年経っても人気は色あせることを知りません。エリックさんの作品には「はらぺこあおむし」以外にも、たくさんの魅力あふれる作品があります。こちらも素晴らしい作品ばかりなので、今回はエリック・カールさんの人気絵本、さらにはエリック・カールさん本人の人物像にもフォーカスしてみたいと思います。

絵本「はらぺこあおむし」について

1969年にアメリカで初刊行されました。当時のタイトルは「イモ虫ウィリーの一週間(英語タイトル/A WEEK WITH WILLI WORM)」でした。初版は『あおむし』ではなく、『イモ虫』だったんですね。また、食べ物に次々と穴をあけながら物語が進んでいくのは同じですが、あおむしがきれいな蝶になるというラストシーンではなく、イモ虫がサナギになるまでで終わっていたんだそうです。

「はらぺこあおむし」のストーリーは、最初に出版された頃から何度も描き直しされたとのこと。そして1986年頃、あおむしが食べた食べ物の穴をあけるというしかけ付き絵本ができた時、予期せぬことが起こりました。なんと、本国アメリカで、製作コストがネックとなり、発行してくれる出版社が見つからなかったのだそうです。ところが、「はらぺこあおむし」の素晴らしさに感銘を受けた日本の偕成社という出版社によって、「はらぺこあおむし」は1976年に刊行されました。

色々あって、日本で改訂版が発売された「はらぺこあおむし」。現在もたくさんの子ども達から愛され、刊行から50年間経つ今、世界中で4800万部売れたヒット作となっています。

パパ・ママも「自分も小さい頃読んだことがある」という人も多いと思いますし、もしかしたら、おじいちゃんおばあちゃんも子どもの頃に読んだことがある!なんて人もいるかもしれませんね。

作者のエリック・カールさんについて

「はらぺこあおむし」を制作したエリック・カールさんは、アメリカ・ニューヨーク州に住むドイツ人の両親のもと、1926年に誕生しました。その後、1935年にドイツに移住し、ドイツのシュツゥットガルト造形美術大学を卒業後、1952年アメリカに渡ります。アメリカではニューヨーク・タイムズのグラフィックデザイナーとして活躍しながら、1967年「くまさんくまさんなにみてるの?(英語タイトル/Brown Bear, Brown bear, What Do You See?)のイラスト担当として絵本作家デビューを果たします。

自作絵本のデビュー作は、「1、2、3どうぶつえんへ」という作品を1968年に発表、その翌年に「はらぺこあおむし」、1978年「巨人に気をつけろ!」、1985年「くもさんおへんじどうしたの」、1990年「だんまりこおろぎ」、1999年「パッチン!とんでコメツキくん」など、さまざまな絵本を世に生み出しました。さらに、2002年にはアメリカのマサチューセッツ州アマーストにて、絵本専門美術館『エリック・カール絵本美術館』を設立。その翌年、児童文学の作者に授与されるローラ・インガルス・ワイルダー賞を受賞しています。

しかけが施された『しかけ絵本』は、「はらぺこあおむし」以降にも次々と発売。また、絵本製作だけではなく、舞台美術や立体作品なども手掛けていました。

そして2021年5月、アメリカ・マサチューセッツ州のアトリエにて、腎不全により91歳でお亡くなりに。訃報が届いてから、各地の書店で特設コーナーが設けられました。

そのわずか4年前の2017年、エリックさんはしかけ絵本が初めて出版された日本に来ています。その際、自身が描く色鮮やかな作風は、ナチス政権下で経験した悲しい思い出を喜びに変えたものだと、NHKのインタビューに答えています。第2次世界大戦で、爆撃機の攻撃から逃れるための茶色やグレーに塗り替えられた家、地味な色の洋服など、戦争のために色鮮やかな物を禁じられた世界に、幼いエリックさんは違和感を抱いていたようです。戦時中はピカソ、マティスなどの鮮やかな絵画はヒトラーによって抑圧されていましたが、12歳のとき、当時の美術の先生がこっそりピカソの絵画を見せてくれたことがあるそうです。先生がエリックさんの才能に気づいて、行動したかは分かりませんが、エリックさんはその時のことをよく覚えているとのことでした。エリックさんと30年以上親交があった絵本評論家の松本猛さんによると、エリックさんは「戦争は絶対に良くない」という想いを強く語ることが多かったそうです。世界中の子ども達の心をつかんだ「はらぺこあおむし」の色鮮やかなタッチは、エリックさんの辛い経験と、エリックさんが出会った恩師との思い出などから生まれたものだったんですね。

「はらぺこあおむし」の魅力を再確認してみよう

エリック・カールさんの持ち味はなんといっても鮮やかな色使いもそうですが、作品を描く時の技法もそのひとつです。「はらぺこあおむし」にも使われたのは『コラージュ』という技法で、ティッシュペーパーのように薄い透け感のある紙にアクリル絵の具を使って色を塗り、それを下絵通りにカット。複数の色を塗ったり重ねたり、模様を付けたりして、あおむしの体などを表現していくのです。コラージュが大体完成したら、クレヨンや色鉛筆で線を入れたりして仕上げをします。これが、独特の絵柄を表現する技法です。

また、「はらぺこあおむし」には、おなじくコラージュ法で描かれた黄色い太陽が登場しますが、これは、エリック・カールさんの作品にはたびたび登場するキャラクターなんだそうです。エリックさんのキャラクターに対する愛着も感じることができますね。

今ではおなじみである絵に穴をあけるしかけは、発売当時はかなり斬新なアイディアだったそうです。ストーリーが進むにつれ、月曜日にリンゴを1つ、火曜日にナシを2つと、あおむしはどんどん食べ物に穴をあけていくのですが、曜日の進み方、数の数え方も学ぶことができます。手で穴を触って感覚を確かめながら、「ひとつ、ふたつ」と数えていけるのが楽しいですね。あおむしが蝶になるラストシーンも、絵本のページを持ってパタパタと開いたり閉じたりすることで、蝶が飛んでいく様子を表現することができますよ。

「はらぺこあおむし」は、グッズも大人気!

「はらぺこあおむし」といえば、色鮮やかなキャラクターを生かしたグッズも多数販売されています。公式サイトで紹介されているものでも、ぬいぐるみ、時計、食器、バック類、ネックストラップ、シューズ類、衣類、文房具、玩具など、本当にたくさんのグッズが販売されています。出産祝いや誕生日などに喜ばれるギフト用、もちろん日用品も、キャラクターがそのまま絵本から飛び出てきたように描かれ、魅力的です。

色鮮やかな原色が使われているので、まだ目が見えたばかりの赤ちゃんの目にも見えやすく、分かりやすいのがいいですね。

絵本の「はらぺこあおむし」も、さまざまな形式で販売されています。通常の大きさは20.8㎝×29.5㎝ですが、ミニエディション版は9.6㎝×12.2㎝と、半分くらいの大きさです。反対に、42.8㎝×58.4㎝というビックブック版もあります。こちらは、読み聞かせ会などで利用されているそうで、自宅用には通常版、プレゼントにはミニエディション版などの小さいタイプが人気だそうです。全見開きのページにしかけがあるのがポップアップ版で、つまみをひっぱるとあおむしが移動できるしかけが楽しい一冊です。また、ぬり絵が楽しめるぬり絵絵本、読み聞かせCD付きのボードブック版、英語バージョンなども販売されています。

エリック・カールさん作、その他の作品をご紹介

エリック・カールさんは、「はらぺこあおむし」以外にも、40作品以上を発表しています。「はらぺこあおむし」を手掛けた偕成社から出版されている作品をいくつかご紹介します。

「1、2、3どうぶつえんへ」

エリック・カールさんが得意とするコラージュ法で描かれた動物たちが、汽車に乗って動物園へ行くという内容です。文字がない絵本で、ページが進むごとに描かれる動物の数が増えていくのを、子どもと一緒に動物の数を数えながら読み進めていくと良いでしょう。

「くまさん くまさん なにみてるの?」

1984年に発行された、3歳~4歳向けの絵本。さまざまな動物たちの名前を覚えることができますし、会話の答えを想像しながら読み進めると楽しいです。エリックさんの持ち味である鮮やかな色使いも、子どもの感性に響きそうです。

「パパ、お月さまとって!」

1986年発行、3歳~対象の絵本で、ボローニャ国際児童図書展・エルバ賞推薦関連書籍。タイトルの通り、娘にお月さまを取ってとお願いされたパパが、長いはしごなどを使ってお月さまを取りに行く、という内容です。夢のあるストーリーはもちろん、ドキドキしながら開くしかけも楽しい一冊です。月の満ち欠けの勉強にもなります。

「ホットケーキのできあがり!」

みんな大好き、ホットケーキが出来上がるまでを描いた絵本。ホットケーキを作るのに、なんと小麦から小麦粉を作るところから始まります。卵も鶏が産んだところから、牛乳も牛のお乳を搾ります。食べ物がどのように作られているのかがよく分かる、食育にもってこいの1冊です。

まとめ

「はらぺこあおむし」の作者のエリック・カールさんは、コラージュ技法という独特の技法を早くから確立し、独特の世界観を表現し続けた方でした。戦争の辛い体験から、美しい自然、かわいい動物、おいしい食べ物を心から楽しむことを子ども達に伝えたかったのだと感じます。総じてそれらは『生きる事』を楽しんで、というメッセージだったかもしれません。今はコロナ禍で、テレビ画面やスマホの画面で楽しむしかないのですが、いつかまた本物の自然や動物に触れることができる日を楽しみにしながら、もう少しおうち時間を楽しみましょう。

引用元/エリックカールの世界 公式サイト

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 1000-200px_02.jpg

関連記事

バナー1

バナー

ぬりえバナー

ぬりえバナー
ページ上部へ戻る