コロナで育児休業は延長できる?できない?育休についておさらいしよう
- 2021/6/2
- 夫婦の時間


またまた緊急事態宣言が延長!この状況はいつまで続くのか…。特に妊娠中、出産まもない人は不安でいっぱいですよね。ワクチン接種が開始されたとはいえ、子育て世代が完全に接種を完了する状況が来るのはまだまだ先の話。こんな状況で子どもを保育園に預けるのは不安だし、育児休業の期間を延長できないかな、と考える人も多いのではないでしょうか。今回は、コロナ禍を理由としての育休延長が可能かという点も含め、育児休業についてのあれこれについて再検証してみましょう。

育児休業制度とは?
1歳未満の子どもを養育する労働者が、育児を目的とした理由で会社に申し出れば、子どもが1歳になるまで仕事が休める制度です。男女共に、性別は関係なく申し出ることができるので、中にはママが産前産後休業を取得して育児休業はパパが取得する、というケースもあるようです。
正社員だけではなく、パート・アルバイト・派遣社員も、雇用形態は関係なく取得が可能です。しかし、取得するには一定の条件があるので、育休の申請前に確認しておきましょう。育休が取得できる条件は、次のとおりです。
同一事業主に1年以上継続して雇用されていること
入社して1年未満だと、育休を取得することができません。
育休明けにも引き続き雇用が継続されること
子どもの1歳の誕生日の後、育休明けに職場に復帰する予定があることが条件です。
子どもの2歳になる日の2日前以降も労働契約期間が続き、契約更新もする予定であること
労働契約期間が職場復帰後1年以上あることも条件のひとつです。有期契約の派遣社員、アルバイトの場合などで、契約期間が職場復帰後約1年未満であるときは、育児休業を取得することができません。
週の所定労働日数が2日以上であること
パート・アルバイトなどの雇用形態の場合で、1週間の労働日数が3日以上働いていないと、育児休業は取得できません。
雇用形態に関係なく一定の条件を満たして入れば、産前産後休業の後に育児休業は取得できます。ちなみに、産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上は14週間前)から取得可能。出産後は、本人が就業を希望する場合を除き、産後8週間は就業ができない規則となっています(本人が就業を希望する場合は6週間の就業禁止となる)。

コロナを理由に育児休業の期間を延長できる?
育児休業の期間は、原則子どもが1歳を迎える誕生日までですが、保育園の待機児童問題、第2子の妊娠、ママの体調が良くない場合等、事情により育児休業、育児休業給付金の受け取り期間の延長が可能になります。
新型コロナウイルスの蔓延で、育休の延長を希望するパパ・ママも増えているようです。こちらの問題は結論から申し上げると、地域で差があるかもしれませんが、コロナを理由とした育休の延長は可能です。
ただでさえ保育園に入園したばかりの子どもはいろんな病気にかかりやすいのに、コロナ禍では心配は何倍も増えます。ママも職場復帰で感染リスクが高まり、それに伴い子どもへの感染リスクは何倍も高くなるからなおさらです。2021年春の時点でのコロナウイルスのワクチン接種は、子育て世代が受けられていませんし、15歳以下の子どもの接種はまだまだ先のこと。子どもの健康を守る親の役目として、育休の延長を会社に申し出てみることは検討してみる必要があるかもしれません。

パパ・ママ育休プラス制度を利用すると、育休給付金も2か月延長可能に!
2010年から厚生労働省が推進している「パパ・ママ育休プラス制度」。男性の育児休業が取りやすくなるのではと期待がありましたが、開始されて10年以上たつのに、なかなか浸透していない感があります。そもそも、男性が育児休業を取得する率が伸び悩んでいることが、「パパ・ママ育休プラス」が浸透しづらい理由のひとつ。こちらの制度は、パパとママ、両方が育児休業を取得している場合のみ利用できる制度だからです。
しかし、パパも(ママも)子どもが1歳になるまでに一度は育休を取得している場合、こちらの制度を利用すれば、通常子どもが1歳になるまでの育児休業の期間が~1歳2か月に延長されるという形になります。
パパが育休を取得するタイミングとして多いのは、人それぞれではありますが、やはりママが出産したの時だと思います。その時期、1週間程度の短い休みでも取得しておけば、最大2か月育休が延長できるのです。
こちらの制度が特に喜ばれているのは、ママの職場復帰時にパパが育児をサポートできることが挙げられます。
育児休暇後の職場復帰、気持ち的にも体力的にも不安なことが多いものです。最初の躓きが後々に響いてくることも多いですので、復職のスタートをしっかり切るためにも、パパ・ママ育休プラス制度の利用をご検討ください。

育休を会社は拒否できる?
育児休業の取得は法律で守られている制度なのに、どうして妊娠をきっかけに会社を辞める人が多いのでしょうか。
企業は、妊娠・出産を理由として社員を解雇することは法律で禁じられていますが、現状では出産後に同じ職場復帰するのが難しい空気はあるようです。そのため、出産を機に退職をせざるを得ないケースも少なくないようです。
会社の慣例に従う、という言い方ならしっくりくると思います。また、1人目の時はどうにか育休を取得しながら職場復帰ができたものの、2人目以降育休を取得することが難しかった、というケースも多いようです。
どうしても納得できない場合など、職場に残れるように裁判を起こす人もいますが、日常の子育ての大変さからなどで裁判で戦うのを諦めてしまう人が多いそう。たとえ裁判に勝って職場復帰しても、その後働きづらくなってしまって結果退職に追い込まれてしまったというケースもあります。
法律では会社は育休取得を認めなければいけないとありますが、実際は、雰囲気レベルで育休取得ができない状況の企業もまだまだ残っています。
派遣社員の方の中にも、育休を取得しようと申請したら拒否されたという経験を持つ人がいるようです。実際には拒否されたという事実はなくても、なんとなく退職を促されたなど、結局職場復帰はできなかったという話も後を絶ちません。
正社員以外は特に、育休取得に関して理不尽な扱いを受けることもしばしば。コロナによる不況で、安心して子育てしながら働ける環境がさらに失われることがないように祈るばかりです。
育休の理由を隠すパパ急増?!かくれ育休の実態
女性(ママ)が育休を取るのは当たり前になってきましたが、男性(パパ)が育休を取ることは、まだまだ難しいのが現状のようです。
育休取得を会社は拒否できるわけではないですが、育休を申し出たところで「男性が育休を取得しなくてもいいのでは?」と言われて結局取得できなかった、というケースが多いようです。
そのため、育休を取得するより、数日有給休暇を取得した方が早いと考え、育休ではなく有給休暇を消費するパパも多いのだそう。おかしな話だな、と思ってしまいますが、それだけパパが育休を取得することは、ハードルが高いということなのです。
この、実際は育児休業の有給休暇は「かくれ育休」と呼ばれているとのこと。早くパパの育休取得が当たり前の世の中になって欲しいものです。
公務員は男性育休取得率が高め!
男性の育休取得率は、2021年現在で7.48%。その中でも、取得した育休の日数が1週間以内という短期間の場合がほとんど。それでも、取れただけ良かった!と満足している人が多いというから驚きです。さらに、育休を取得した男性に「職場は育休を取得しづらい環境だったか?」というアンケートでは、5人に1人が「取得しづらい環境だった」と答えでした。
女性でも育休を取得しづらい職場がある中、男性が満足な日数の育児休業を取得する日は来るのでしょうか。
この問題の国の取り組みとして、国が自ら男性の育児休業取得を推進しているという内容のニュースがよく見られます。最近では、環境大臣を務める小泉進次郎氏が育児休業を取得したという話が有名ですね。
国が行っている取り組みの例のひとつとしては、国家公務員の男性による育休取得推進があります。その成果もあってか、2019年の調べでは、自衛官を含む国家公務員の男性の育休取得率は16.4%と、一般企業に比べて2倍以上の男性が育児休業を取得できたことが分かりました。7割近くが1か月以下の短期間ではありますが、それでも取得しやすい空気を作ったことで、男性の育児休業取得率がアップしたという事実は確か。これがどんどん民間にも浸透していったらいいですね。
まとめ
保育園の入園、第2子の妊娠、コロナなどの理由により、職場復帰のタイミングが難しいと、焦ってしまって色々判断ができなくなる感覚があると思います。気持ちが焦っていると普段はうまくできることもうまくできなくなることもありますし、ママがストレスを感じることで、子どもの様子に影響が出るという事態にもなりかねません。
職場復帰は、自分がベストと思うペースで行うのが理想。無理せずに、できることなら育休を延長してでも、慎重に進めていきましょう。
